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私の原点と克服すべき最も困難な課題
スチュアート・リース氏
シドニー平和財団理事長

私の原点

私の原点は第二次世界大戦における両親の経験、そして戦争の大きな人的被害に対する私自身の自覚にあります。これらの影響から、私は広島と長崎への原爆投下を含むぞっとするような戦争の暴力に対して、哲学・言語・非暴力の実践にひきつけられていきました。

また、戦後の時期、私は人類を平等に扱う必要があることを学びました。特に教育と医療の機会均等に関してです。例えば、なぜ医療を受けられるかどうかが患者の支払能力によらなければならないのか、私には理解できませんでした。私は今でも医療を受ける権利を市民社会の主眼と考えています。

医療を受ける権利は必要に基づくべきで、絶対に人々の支払能力やその他の影響に基づくべきではありません。だから私が正義による平和の達成目標について交渉するとき、医療、教育、住宅問題、雇用問題に関するこうした配慮がより良い世界をつくる努力の中心になります。これらの価値は人権に関する検討事項を含んでいます。この点で、私は世界人権宣言を20世紀における最も重要な文書として見なしているのです。

克服すべき最も困難な課題

一般的に言って、私は克服するのが困難な問題として人々の無関心、彼らを取り巻く世界への好奇心の不足を指摘したいと思います。政府の社会政策が勝手な自己中心主義を助長する場合、また個々人の関心が彼ら自身のことや身近な家族の生活だけに向けられているとき、これは社会正義にとって非常に障害となります。

より特別な困難も起きました。数年前、シドニー平和財団はあるパレスチナ人に「シドニー平和賞」を受賞することを決定しましたが、これはオーストラリア国内や海外に拠点を置くユダヤ人組織から大きな反発を呼びました。私たちの公平性を叫び、勇気と忍耐を持って立ち上がり、よく組織された反対運動に立ち向かうことは、私にとって、また平和財団の潔白にとって真の試練になりました。

勇気は公的生活の中でしばしば欠けてしまうものです。勇気―あなたが何かのために立ち上がるためのものであり、真の行動指針になるもの―は、「実践」です。もし、あなたが社会正義への関心と同じようにより良い世界のための関心を土台に置くのなら、あなたはあらゆる機会にその関心を表明しなければなりません。それもまた実践なのです。