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内なる平和の達成こそ永遠平和の鍵
アーヴィン・ラズロ氏
ブダペストクラブ創設者・会長

今日、世界の平和が私たちの心の平和に決定的に依存しているという洞察ほど重要なものはありません。失望し、憎しみを抱き、復讐を望み、世間に冷たくあしらわれていると信じている人は、平和・協力の精神で他人や自然とうまく折り合うことができません。その原因が傷心からくるエゴであれ、人々の傷付けられた自尊心であれ、個人的な復讐の念や信仰を守るための聖戦であれ、最後に待っているのは暴力、死、そして破滅です。人々の心の平和を達成することこそ、世界の平和を達成する不可欠の前提条件なのです。

内なる平和の達成は、私たち一人ひとりが互いに心を通わせ合うなかで実現しなければならないものです。個人にとって、内なる平和を達成するためには、生命の基本的尊厳が認められる状況に支えられた進化した意識が求められます。また、活力やチャレンジ精神を奪うストレスや貧困から解放されることが必要です。国家や文化あるいは宗教においては、内なる平和は世界中の人々からの理解と尊敬を必要とします。数や力に大小の差こそあれ、人々が大切にし尊重している生活様式や信念、信仰は多様だからです。

いま、新しい意識が東と同様に西でも、南と同様に北でも、世界中のあらゆる場所で誕生しています。この新しい意識の世界的な広がりこそ、世界の永続的な平和を実現する不可欠な要素です。新しい意識に目覚めた人は意思を結集し、「責任」という地球倫理を受け入れるためのビジョンを展開します。そして住んでいる場所や国籍、民族の起源や信念にかかわらず、すべての人類家族のために心を砕きます。必要とされる数の人々によって普及・実践されるこうした地球倫理は、今日の誤りを正し、より高い次元の正義と幸福を生み出すことができるでしょう。つまるところ、地球倫理そしてそれを受け入れるために必要な新しい意識こそ、内なる平和の欠如が内なる平和の前提条件である外部の平和を阻むという悪循環を断ち切る最高の、そしておそらく唯一の道なのです。

世界の民衆・国家・文化の意識がより高い水準へと進歩し、地球倫理が指導者から市民まで一様に取り入れられたとき、真に永遠の平和が訪れるでしょう。平和は単に暴力やテロ、戦争が存在しない状態ではなく、“ホモサピエンス”と呼ばれる種族の心と精神にふさわしい魂の表現なのです。