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「人は変われる」という認識が世界を変える
ラリー・ヒックマン氏
デューイ研究センター所長

私が学んだ最も重要なことの一つは、人の傾向性についての判断は往々にして早まったものになってしまうということです。人を判断するということは、おそらく最も難しいことの一つでしょう。つまり、ある人の悪い振る舞いが、そのままその人の人格の悪さを示しているとは限らないということです。ひとたび私たちが人間の経験における変化と目新しいものの役割を理解し、人間の心が持つ不思議な可塑性を理解するようになれば、死によって可能になるまで、人の人格を判断するようなことはしなくなるでしょう(死んだ後でさえ判断できない場合だってあります)。

これは、仲間である人類との関わりの中で病的な態度を見せる人々がいることを否定するものではありません。人々が嘘をつき、盗みを働き、悪事をなすのは悪評高い事実です。私が指摘したいのは、これまでのことを強調する代わりに現在における新たな始まりの可能性、人間は再出発できるという現実のことです。

宗教的な人々は、これを“再誕”と呼びます。宗教的でない人々は、これを“贖罪”あるいは“自己の再発明”と呼んでいます。どんな表現を使うにせよ、私たち自身の中に、そして他者の中にも変化と更新の可能性があると理解することはとても重要なことです。こうした認識のもとで初めて、私たちは自己の誤りやこれまでの悪い振る舞いに対し、自分自身の成長を促す形で向き合えるようになるでしょう。そして、こうした認識のもとでこそ、私たちは共同体の発展ひいては地域のための努力を促す形で、他者と関われるようになるでしょう。