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公の課題解決に能力を提供し建設的に行動を
ブトロス・ブトロス=ガリ氏
元国連事務総長

私は60年以上にわたり公務に携わってきました。大学教授、祖国エジプトの公務員、国連やフランス語圏機関の職員、多数の民間企業や協会に勤務してきました。現在はエジプト人権委員会の総裁に加えて、発展途上国の政府間組織であるサウス・センターの理事長をしています。

私はいまも世界の人々や国際社会が直面している数多くの挑戦の処理や解決に貢献すべく努力を続けており、相変わらず多忙な毎日です。でも、立ち止まるつもりはありません。精神的・肉体的に健康であるかぎり務めを果たします。

私のプロとしてのキャリアが60年を越えたいま、世界はより複雑に、より危険に、より相互に関係し、より相互に依存するようになっています。私は地域・国家・国際レベルで多くの問題や危機に直接関わることで、こうした動きを直接目の当たりにしてきました。この世界には、国家的にも国際的にも見識あるリーダーシップが求められています。そしてまた、学識があり洗練された市民と世論が必要とされています。

したがって、私が将来の指導者や市民になる世界中のすべての国々の青年に伝えるべきだと考えるメッセージの一つは、21世紀初頭における国際問題の複合的課題、その本質を認識・理解する必要性です。また、こうした挑戦に積極的・建設的な姿勢で臨み、関連するプロセスに効果的な形で参加できる能力のことです。

実効的に課題解決に参加する必須条件の認識と理解は、民主的な国際共同体を築く基調になるものであり、少数者が有無を言わせずすべてに影響を与える決定を下している現在の状況を克服するための基調でもあります。

ですから、すべての国々に暮らす次世代の青年の役割は、国際問題について建設的な視点を展開することであり、その展望を日々の生活や仕事に反映させていくことです。青年は技術や能力を磨くべきであり、自分たちの未来や運命に影響を与える決定について発言力を持てるよう自らを組織化すべきです。青年は紛争を激化させ、平和を脅かし、格差を深め、貧困を拡大し、私たちの生存に関わる環境を害している現在のプロセスではなく、世界の民衆と国々が共に真の国際共同体を生み出していくプロセスとしてのグローバル化を具現化する必要に迫られるでしょう。

2番目のメッセージは、極めて大切な公務と公の問題の重要性に関することです。最近では多くの若者が個人的関心についてのみ、そして実際、金銭的な利得が得られる職業や人に命令できる専門的な職業についてのみ考えるよう育てられています。公務に対する評価は著しく低下しました。もはや魅力的な民間企業や将来有望な職業と最優秀の人材をめぐって競争することはできません。また、公の問題や公益は、市民社会の中に自己実現の道を見出した比較的少数の若者の間でしか気にかけられていません。

今世紀は、特に国境や特定の利権を超越した公の問題について、人事を中心に新たなコミットメントが必要になるでしょう。場所を問わずに起きる青年への挑戦に対しては、持ち上がるだろう無数の課題を引き受ける覚悟をしなければなりません。また、青年の職務と人生を導き鼓舞するために、適切な世界的視野と理解が求められます。青年は彼らの才能と能力を国連内の人事委員会に提供する必要もあるでしょう。そこが、今後10年間の国際社会、公正な世界秩序、進歩と民主を支える屋台骨に大成長すべき機関だからです。